診断
基本診断
欧米における改訂を受けて、1999年、わが国の糖尿病の分類と診断基準が改められました。新しい分類では、インスリン依存型糖尿病(IDDM)、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)という分類は廃止され、より成因を重視した1型、2型、その他の特定の機序、疾患によるもの、妊娠糖尿病の4つに大別されました。新しい診断基準では、空腹時血糖の基準値を140mgから126mg/dl(静脈血漿値)に引き下げられました。これは国際的な整合性を重んじたことと、75g経口糖負荷試験(OGTT)における2時間値200mg/dlに対応する空腹時血糖値がほぼ126mg/dlであることが日本人のデータで示されたことによります。新診断基準では、
@空腹時血糖値≧126mg/dl、75gOGTT2時間値≧200mg/dl、随時血糖値≧200mg/dlのいずれかが、別の日に行った検査で2回以上確認できれば糖尿病と診断。これらの基準値を超えても、1回の検査だけの場合には糖尿病型と呼ぶ。
A糖尿病型を示し、かつ、i)糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在、ii)HbA1c≧6。5%、iii)確実な糖尿病網膜症の存在のいずれかの条件がみたされた場合は、1回だけの検査でも糖尿病と診断できる
とされました。
糖尿病の病型と病態の診断
分類に従い病型と病態(病期)について診断します。患者さんがどこに位置するかを診断します。膵β細胞の破壊を示す各種自己抗体(膵島細胞抗体、抗GAD抗体など)の存在が1型糖尿病の診断には重要となります。インスリン依存性を診断するためには内因性インスリン分泌能の評価が重要であり、尿中CPR量、グルカゴン試験が参考となります。すなわち、尿中CPR量が20μg/日以下あるいはグルカゴン⇒1mg静注6分後の血中CPR値が1.0ng/ml以下であればインスリン依存性の状態でありインスリン治療が不可欠と考えられます。糖毒性によるインスリン分泌能の低下も考えなければなりませんので、血糖コントロールが改善してから再度内因性インスリン分泌能を評価することは、その後の治療方針を決定するうえで重要となります。さらに、インスリン抵抗性の有無を診断することも重要となります。インスリン抵抗性を簡便に推定する方法がないため、空腹時血中インスリン値やHOMA‐R:空腹時血中インスリン値(μU/ml)×空腹時血糖値(mg/dl)/403が用いられることが多いのが実際です。いずれも空腹時血糖値が150mg/dl以下でグルコースクランプ法によるインスリン抵抗性とある程度相関が認められます。糖毒性や膵β細胞の疲弊によりインスリン分泌能が低下しますので、空腹時インスリン値やHOMA‐Rが低値を示してもインスリン抵抗性が存在しないということには必ずしもなりません。肥満、高脂血症、高血圧、動脈硬化症の合併はインスリン抵抗性の存在を示唆するので注意が必要です。そして、網膜症、腎症、神経症、動脈硬化症などの合併症は必ず精査します。 |
治療
糖尿病治療の基本は、全身の細胞でのインスリン作用不足による代謝異常を是正することにあります。血糖値は、この代謝異常の程度を示す鋭敏な指標の一つとなります。したがって、高脂血症など他の指標も正常化するように治療をすすめなければなりません。急性代謝失調(ケトアシドーシス、高度の脱水、随時血糖値350mg/dl以上)や重症の感染症などを伴わなければ、急激に血糖をさげる必要はありません。病態を把握しつつ、食事、運動を含めた生活習慣の改善から始めます。糖尿病治療の目標は、慢性合併症の発症、進展の阻止であり、血糖コントロールを目標とします。
2‐3か月の生活習慣の改善により、この目標に達成できない場合は薬物療法を開始します。内因性インスリン分泌能が明らかに低下していればインスリン療法を、インスリン分泌能が十分であり、インスリン抵抗性の存在が推定されればビグアナイド薬かチアゾリジン誘導体を副作用に注意しつつ投与します。インスリン分泌能が低下していればスルホニルウレア薬を投与します。ただし、インスリン抵抗性の併存も疑われるときはビグアナイド薬かチアゾリジン誘導体の併用も考慮に入れます。食後高血糖の認められるときは、α‐グルコシダーゼ阻害薬や速効型インスリン分泌促進薬を考慮します。内因性インスリン分泌能が高度に低下している場合には、血糖コントロールが必ずしも容易でない場合もありますが、少なくとも2型糖尿病では「良」以上の血糖コントロールをめざし、「可」では生活習慣を見直すとともに薬剤の増量なども考慮します。「不可」では直ちに生活習慣の厳重な見直しと治療方針の変更を考えます。糖尿病の合併症の予防には、血糖値のコントロールのみならず肥満、高血圧ならびに高脂血症の管理も重要で、糖尿病患者においてはBMI=20‐22、血圧130/85mmHg以下、総コレステロール140‐200mg/dl、中性脂肪120mg/dl未満(早朝空腹時)、HDLコレステロール40mg/dl以上を目標とします。 |
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糖尿病治療において早期発見、早期治療が大原則です。手遅れになる前に発見し治療することが大切なのです。
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